源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成22年7月21日 第32回 水曜部会

【報告】
  本日、7月21日は春学期最後の水曜部会でした。参加者は、先生方を含め10名でした。 新入会員一名、通信部会新入会員の方の体験ありと賑やかな雰囲気でした。 今日の発表は高橋(裕)さんと美濃島の2名でした。いよいよ、今日の発表で桐壷の巻を読み終えることとなります。 はじめに私、美濃島の発表です。
  今回の担当箇所はテキスト39頁14行目から40頁8行目「源氏、一途に藤壺の宮を思慕」を読みました。
  人には言えない秘密。源氏の心を苦しめるのは、父帝の女御、藤壺の宮への思慕である。 亡き母君そっくりという若い義母を理想の女性へと仰ぐ。 元服後、直接会えなくなった今、ほのかに漏れ聞く御声を慰めとして、源氏自身も宮中を離れたくない気持ちがある。
  40頁3行目「さやうならむ人こそ見め」とありますが、「見る」ということばは、視覚を通して他物を自己に取り込む能力を示す場合があり、結婚したいという意になって、源氏の心内をあらわしている。 40頁8行目「琴笛の音に聞き通ひ」(河内本系本文、青表紙本等は「聞こえ通ひ」)に関して吉沢義則氏は、「聞き通ひ」であるから聞くことによって思慕の情の往来する意である。 (『源氏隋攷』)という説と岷江入楚の只管弦の事也という説に解釈は、二様に分かれるが、源氏の気持ちを考えると吉沢義則氏の説に従いたい。
  みなさんが楽しい夏休みを過ごせますように!

美濃島千鶴

  7月21日は春学期最後の研究会ということで、切りよく桐壺巻を終わらせるため美濃島さんと私高橋の発表となりました。 範囲は、テキスト40頁8行目「五六日さぶらひたまいて」から41頁5行目の桐壺巻最後までです。 ここには、宮中と左大臣邸を行き来する源氏の日頃の様子が描かれ、もとは桐壺更衣の里邸であり、今後源氏が女性たちを住まわせる二条院もこの場面で改築されています。
  40頁12行目に現在では語義のわからない「おほなおほな」という言葉があり、とても悩みました。 平安時代に書かれたとされる源氏物語には、このように現在使われておらず意味が定かでない言葉があり、『日本国語大辞典』にも「(「源氏物語」の「おほなおほな」の解の一説から)心をこめて。ねんごろに。精一杯に。」と書かれていました。
  また、40頁14行目の「修理職」や「内匠寮」のような本来宮中の修理や装飾を担当する部署を、帝の命により源氏の屋敷に使うのは、帝が源氏を大切に思う現われであるとのことでした。
  次回は秋学期9月29日に帚木巻がスタートします!45頁1行目から6行目まで、担当は古田さんです。

学部4年 高橋祐美子


※資料(アクセスキーを入力してください)
  「桐壷巻」39p,14L~40p,8L
  「桐壷巻」40p,8L~41p,5L