源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成21年12月16日 第16回 水曜部会

【報告】
本日12月16日は、2009年度最後の水曜部会でした。
参加人数は発表者の私高橋、先生方を含め10名でした。
卒論の提出を終えた4年生の皆様がいらっしゃったので、ここ数回の水曜部会よりも賑やかに感じました。

今回の担当箇所はテキスト26頁1行目「このころ、」から14行目「おぼしめさる」まででした。
ここでは、帝が故更衣を思いながら長恨歌の絵を御覧になる様子、命婦から母君の返事を受け取る様子などが描かれていました。

26頁1行目「明け暮れ御覧ずる長恨歌の御絵」について、大野先生から屏風歌の詳しい説明をしていただきました。
私自身、2行目「伊勢、貫之に」から3行目「唐土の歌をも、」の部分に訳しづらさを感じていたので、屏風には漢文・翻訳・和歌が描かれていたこと、 「大和言の葉」が伊勢・貫之の和歌、「唐土の歌」は長恨歌の原文が描いてあったともとれると教えていただき、すっきりと理解することができました。
また4行目「枕言」について古田さんをはじめ皆さんから解説をいただき、「枕言」という言葉の意味が、 和歌の「枕ことば」のように意味はないけれど言う言葉→意味はないけれど言ってしまう→口癖に言う言葉 となり、 この話から、『枕草子』の「枕」の解釈についてへとつながっていくことに面白さを感じました。

10行目「乱りがはし」について、評釈に「(一)書き様、(二)歌の内容、の両説があるが、(一)の説をとりたい。」とあったので、 古注釈の『湖月抄』を引いてみました。すると、『細流抄』『哢花抄』は書き様、『玉の小櫛』は歌の内容としていることがわかりました。
しかし、母君自身も「乱りごごちになむ」と言っており、実際問題、心が乱れているのに筆跡が整っていては不自然であるということを考えると、 どちらかということをはっきりと定めず、両方と捉えたほうがよいという結果になりました。

次回は、年明けの1月6日26頁14行目からです。

学部3年 高橋祐美子

 


※資料(アクセスキーを入力してください)
  「桐壺」26p L.1~26p L.14