源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成21年7月25日 第6回 土曜部会

【報告】
開催場所:白山キャンパス6316教室
出席者:8名
発表者:大野祐子

担当箇所は、テキスト14~16頁でした。 和歌の歴史について述べた部分で、後半部分は、古今和歌集中にある30首近くの和歌の言葉を引きながら、文章を作り上げていて、真名序ではここに該当する部分はありません。
このあたりの文章は、引用した和歌の言葉をただ列挙しているのではなく、漢詩等によく見られる四六駢儷体の対句表現に比して、練り上げられていることがわかります。
それを視覚的にわかりやすくするために、改行を多くして、対になる言葉をそろえるなどして、発表資料を工夫してみました。このようにして浮かび上がってきた問題点として、下記の2点を指摘しました。
①岩波文庫脚注で「わからない」とする「花をそふ」の「そふ」の意味とは?
②「長柄の橋もつくる」は、「造る」か「尽くる」か?
今回は、問題点を指摘するだけにとどまってしまいましたが、引き続いていろいろ調べていきたいと思います。
また、調べが足らず、発表には至りませんでしたが、引用されている和歌がどのような意図をもって、このように配列されているのか、さらに「なぐさむ」という言葉で結ばれている点など、仮名序冒頭とのつながりについても気になりました。 これについてもあわせて考えていきたいと思います。

大野祐子

 


※資料(アクセスキーを入力してください)
  『古今和歌集』仮名序 (p14)