源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成22年6月16日 第27回 水曜部会

【報告】
本日の出席者:河地、大野、古田、高橋(祐)、高橋(奈)、田辺、鈴木(香)、美濃島(敬称略)
担当箇所:テキスト34ページ13行目~36ページ3行目
  桐壺巻もいよいよ最終盤にさしかかり、本日の担当箇所の冒頭では、若宮(光源氏)が「源氏の君」と呼ばれるところから始まります。物語は臣籍降下の場面を描きませんが、光源氏の境遇は大きく変わることになるのでした。そうはいっても、光源氏には彼をこよなく愛する桐壺の帝がいます。帝は新しく迎えた藤壺の宮の元にも光源氏を連れて行き、光源氏は親のように藤壺の宮を慕っていきます。臣籍降下と藤壺との出会いという、光源氏の命運を大きく決定付ける二つの事件が、この短い箇所に凝縮されている感があります。
  発表後、大野先生から「光君」は写本レベルでは「ひかるきみ」の「ひ」が「日」と書かれていることが多く、「かかやく日の宮」とこの点でも対比が図られている可能性があることや、藤壺も光源氏も「うつくしげ」と書かれており、まだ人物の書き分けなどがたどたどしく感じられることなどをご指導いただきました。
  来週は36ページ4行目から、大野先生がご担当予定です。

古田正幸


※資料(アクセスキーを入力してください)
  「桐壷巻」34p L.13~36p L.3