源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐

上:『源氏物語』の「胡蝶」巻で、紫の上は、秋好む中宮の「季の御読経」の催事に際して供華を行ったが、その時の使者として遣わされたのが、「迦陵頻」と「胡蝶」を舞う童子たちであった。庭の舞を見る画面奥の秋好む中宮と光源氏、春爛漫の六条院、西南の町である。

源氏物語小屏風絵-胡蝶-
(個人蔵、江戸初期)

下:「龍頭鷁首を、唐のよそひに、ことことしうしつらひて、楫取の棹さす童べ、皆みづら結ひて、唐土だたせて、さる大きなる池のなかにさし出でたれば、まことの見知らぬ国に来たらむここちして」―『源氏物語』「胡蝶」巻より

源氏物語小屏風絵‐胡蝶‐
部会報告
平成21年6月17日 第2回 水曜部会

【報告】
平成21年6月17日(水)、前回と同じ白山キャンパス1号館1304教室にて、第二回の水曜部会が開催されました。 今回の研究会から、いよいよ実際に『源氏物語』を読み進めていくこととなりました。発表者は、古田及び4年生の鈴木優美さん、佐藤理恵さんで、テキスト11ページから13ページの1行目まで進みました。

鈴木さん、佐藤さん共に限られた時間と紙幅の中で発表を行ってくださいました。 最初の発表ながら緊張した様子もなく、たいへんどうどうとしていて良かったです。 資料も見やすかったです。ただ今日は引用した本を口頭で紹介してくださいましたが、欠席の人のためにも、どの本から引用した情報なのかが資料に載っていると、もっと良かったかもしれません。 この点は私自身も資料を見てわかるように気を付けたいです。

会の雰囲気は大変活発なもので、さまざまな質問なども出てよかったと思います。 特に12ページの「いにしへの人のよしある」という表現と天皇家の関係に関する質問は大変面白いと思いました。 今後も自分自身で考えたことを臆することなく発言し、皆で考えまとめていける場であってほしいと強く願っています。

ちなみに、今回私の資料の裏面に刷った参考文献の一覧は、これら全てに目を通す必要があるという意味で紹介したわけではありません。 特に最初のうちはあまり多くの本に目を通すと、どの本の説を採って良いかわからずに混乱してしまうかもしれません。 基本的には、自分の力の中で楽しく『源氏物語』を読み、考えていければ良いと思います。

慣れてきた人のために、様々な本があること、様々な本があるにも関わらずはっきりと読み方が定まっていない部分があることなど、今後研究会で『源氏』を読む際の楽しみ方の一助になればと考えて付けたものですので、あまり深刻に捉えすぎないでください。

末筆ながら、『源氏物語』という長大な作品の冒頭を担当させていただけたことを嬉しく思います。 今回発表した範囲でも、様々なことに気付かされ勉強になりました。 今後の会の成功を心からお祈りしております。

東洋大学大学院 古田正幸

 


※資料  (参考文献以外はアクセスキーを入力してください)
  桐壺巻「主人公の母─時めく更衣の紹介」
  参考文献
  桐壺巻「更衣の家柄」
  桐壺巻「主人公の誕生」